思春期お絵描きブログ

主に思春期の心情風景をテーマにしたイラストを描いています。辛気臭いものが多いですが、どうか、よろしくお願いいたします。<(_ _)>

くちなしの花!7「黒い笑い!」

おそるおそる泰蔵が一瞬だけ、ルームミラーをチラ見すると、少年のすごく冷酷な視線が暗闇にうかんだように自分を見つめてるのがわかった。
さすがに、動揺しかけたが、泰蔵はそんな様子をばれたくなく何か会話をふろうと言葉を探すがあせってすぐに出てこず、てこずってしまう・・・ナイフとかにぎってねえよな!

が、ノイズがかかるラジオから先ほどの事件がまだ話しの続きがあるように流れ出した!

ニュースの声「・・・その数分後、逃走した犯人は自宅から数メートル離れた線路上の歩道橋に雨のなかかけのぼってから電車がきたタイミングを待ち、身をなげ飛び降りたとゆうことだそうです!近くの防犯カメラの映像からこの人物の犯人が走って行く様子と、着ていた服装からして、殺害された山本夫妻の一人娘である大学1年の山本良子さん18であることで間違いないと、現場から報告が上がっています!警察では母親の介護での無理心中ではないかと検討しているもようです!なお、今現在こちらの神〇駅付近での人身事故で激しい雨の中、バラバラになった遺体の回収作業が行われているため大幅に電車の発車時刻に遅れが出ているもようです!」

泰蔵「(はあ~?なんだ!犯人もう死んでたのかよ~!しかも女じゃねえか!おどかしやがってくそ~!ふう~!けっ、親の犠牲になって死ぬなんて悲惨なやつだな~!そんなのかまってねえで、とっとと家から出て自分の人生、生きれば良いものを~!大学なんかやめたってどうにだってなるだろう!バイトしてんなら親のすねかじってるニートよりましだろうが!くだらねえ同情心で自分の首絞めてまで親につくすのがそんなに偉いのかね~!お人よしも度が過ぎるとただの病気だな!まあ、さっき刺殺したってつってたギャンブル好きの病んじまったおやじさんの方の気持ちはわからんでもねえけどよ!俺も一時はまってたからな、妻に迷惑かけて!人生なにがあっかわかんねえな~ほんまに!(-_-;))」

泰蔵は情報をあらためて聞くと、急に力がぬけたように一気に緊張感も消え、ここからどうすっか開き直った表情で後ろの少年に声をかけた。

泰蔵「すんませんねえ~、ちょっと脱輪しちまったみてえで、動けなくなっちまったみたいなんですよ!で、本社の方も今中々つながらなくて、雨もいつやむかわかんねえから、申し訳ねえんだけどあんたもちょっと手伝ってくれねえか!」

だが、少年は何も言わず黙ったまま下を向いて、泰蔵に耳を貸そうとはしない!
泰蔵(なんだこいつ、ほんま薄気味わりぃやつだな!しゃべれねえ口なら針で縫っちまうぞ!(-_-メ))
泰蔵は不機嫌に舌打ちをすると上着を脱ぎ決心して膝近くまで完全に浸かってしまう地面に足をおろし外に出て扉をバンと、強い雨の中、バシャバシャ後ろのタイヤの確認をしにいった。ああ、マジ冷てぇ~!
幸いタイヤはそれほど深くはまっている様子ではなく地盤の緩んでいた砂利道に重さで沈んでいる感じだった。
なので、水の流れの勢いも借りてちょっと持ち上げれば何とか浮きそうな状態だった。それでも泰蔵が両手でおちてる側の下から車を持ち上げるとあとちょっとのところまで行くのだがそれ以上は上がらず、苦戦してしまい、仕方なくまた後部座席に座る少年に声をかける事にした。
ついでに汗と強い雨で一気にびしょびしょになってしまったカッターシャツも肌に張り付くように気持ち悪くて、着替え用と雨に打たれながら脱ぎ始める。
こんな醜態を客前でさらすなんて俺とした事が・・だが、今はこの状況、そんな事言ってる場合じゃねぇしな!・・ああ肝心の天気の方、聞き忘れてたわ~!(-_-メ)
相変わらず稲光もはげしい空!泰蔵は心でぶつぶつ言いながら、今度は後部座席の扉を開け、ダメ元でまた声をかける。

泰蔵「なあ、あんたほんま悪いが、手ぇ貸してくれねえか!あんたがいったん降りてくれた方が、後ろのタイヤも軽くなって楽に持ち上がると思うんだわ!さすがにこんなとこいつまでもいたくねぇだろう?」

が、少年は何もしゃべらず暗い車内で下を向いたまま小刻みに震えていた。さみぃのか?泰蔵は、車内の冷房を強めにしてあったのを思い出して、聞こうとしたが、よく見ると寒さではなく笑いを押し殺して震えているのが、少年の不気味な視線でわかった。ふざけてんのかこいつ!もとはてめぇの無茶苦茶な指定のせいでこんな目にあってんだろうが!ついに堪忍袋の尾が切れたのか泰蔵は、相手が客だとゆう事も忘れ、容赦なくがなり始めた!

泰蔵「もうええわたわけ、なんもせんで、気色わりぃ目ぇ向けやがって!この根暗オタクが!ずっと座ってろそこで!ほんでも、延長料金の金だけはちゃんと払ってもらうからな!(# ゚Д゚)」

泰蔵はそう吐き捨てると、もう知ったこっちゃねぇと後部座席の奥の少年の足元に転がってる自分の着替えやタオルの入ったカバンをひったくるように、手を伸ばしひっつかんだ。
・・・が!?

その瞬間、今まで黙って座っていた少年がいきなり泰蔵の襟首をつかみかかってきたかと思ったら、そのまま前の座席に押し当てるような勢いで、唇を塞ぎ嚙みついてきた!