思春期お絵描きブログ

主に思春期の心情風景をテーマにしたイラストを描いています。辛気臭いものが多いですが、どうか、よろしくお願いいたします。<(_ _)>

それでも太陽は赤く染まる!第17回「こもれびの姉弟!」

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前回、危機一髪早朝のオーブントースター爆発騒ぎでひやひやさせられた、ひとしたち姉弟。桜の並木道を歩きながら美穂の不満の口調は止まりません。

第17回「こもれびの姉弟!」

早朝のオーブントースターの事件から無事何事もなく家を出る事が出来た、ひとしと美穂。

住宅街の桜並木をひとしは自転車を引きながら徒歩の美穂と一緒に黙々と歩いている様子。また再び姉弟げんかが勃発しているようです。

美穂、イライラの速足で腕時計の針を目で追いながらひとしに吐き捨てるように・・・。

美穂
「ったく、なんで気をつけてちゃんと見とかないのよ!(#⊳Д⊲)あのまま火事にでもなってたらえらい騒ぎだったかもしれないのよ。お父さんにも言われてたんでしょ。言われた事はきちんと自覚もちなさいよ。小学生のガキじゃないんだから!おかげで出るのがぎりぎりになっちゃったでしょ!新入社員も多いのに、遅刻なんてかっこ悪いじゃない。」

嫌味たらしくさらに足速になる美穂、時計を何度もチラ見しながらひとしに言いたい放題です。(-_-)

美穂
「もう利用者の送迎バスが出てるころだわ。あたしは今日は事務担当だからいいけど・・・。一緒につく子もまだ事務経験がお互い日も浅いし心配なのよ。愚痴っぽいとこあるから本当何言われるか。カンファレンスまでに間に合わなかったらあんたのせいよ!聞いてるの!(#⊳Д⊲)」

ひとし、何かを考え事をしていたのか、少しびくびくした慌てたような表情で美穂に言い訳するように・・・。

ひとし
「う、うるさいなあ、ちょっと黙っててよ!こっちはまださっきのオーブンのトラウマが残ってるんだよ。心臓バクバクしてるし!なんせ僕の目の前で爆発したんだから!死ぬかと思ったよ・・・本当。\(◎o◎)/!」

美穂、冷ややかな視線をひとしに向けるように・・・。

美穂
「何よ!自業自得でしょそんなの!あんたがしっかり気配りしてれば防げた事なんだし、それにそんなしょうもない事故、世の中から見れば日常茶飯事なんだろうし、いちいちかんしょうに浸ってたらきりがないわ!時間は待ってはくれないんだから!」

ひとし、少しムッとして・・・。

ひとし
「なんだよ、さっきは一緒になってびびってたくせに!\(`〇´)/料理される前のにわとりみたいな雄叫びあげちゃってさ。本当。調子いいんだから。それよりもあのまま台所掃除もしないで出てきちゃって、また母さんに帰ったら何言われるか。床中真っ黒けだったじゃん。おまけに母さんのぶんの食パンまで焼かずにさらえちゃったし・・・。」

美穂、相変わらず不満の表情を崩さずに・・・。

美穂
「仕方ないでしょ!(⊳Д⊲)パンが燃えて全部炭になっちゃったんだから。こっちは遊んでるお母さんと違って仕事があるし、食べなきゃ頭が回らないじゃない。あんたはどの道回らないでしょうけど。気になるんだったらあんたが帰って掃除すれば・・・。」

むすっと何も言い返せないでいるひとしに美穂はさらに続けて・・・。

美穂
「お母さんだったら、どっかに買いだめで溜めたカップ麺があるからだいじょうぶよ!爆音聞いても起きてこない図太い人なんだから、掃除もテレビ見ながらゆっくりすればいいのよ。あたしもカップ麺にしようかと思ったけどさすがにあの状況でお母さん起こすのもやっかいだったし。まあ、しかられるのはどの道、先に帰るあんただからいいけど。あたしは今日も施設行事の花見の打ち合わせとかで遅くなりそうだし。この忙しいのに朝っぱらから迷惑かけたんだからそのぐらいの責任は当然でしょ。( ̄д ̄)」

自分勝手な姉の言い論に心の不満がつい口から飛び出すひとし・・・。

ひとし
「ずっるいな~!\(⊳〇⊲)/もともとは全部お姉ちゃんがもたもた洗面所に立てこもってたのが原因なのに。似合わないパーマなんかかけちゃって、あげくに僕にトイレ我慢出来なきゃ漏らしちゃえなんて無茶苦茶なこと言っといて。」

美穂、開き直って・・・。

美穂
「せっかくあのままオーブンの爆発で漏らしてたら大声で笑ってやったのに、あんたって馬鹿な所で意外としぶといのよね。てゆーかこれはパーマじゃなくてただのヘアースプレーよ。あんたももうちょっと考えて物言わないと学校でいい笑いものよ。まあもうとっくに恥さらしてるけど。( ̄д ̄)」

ひとし、さらにふまんげにイラっとして・・・。

ひとし
「お姉ちゃんてやっぱ、そうとうひねくれてるよね。思いやりも足りないし、彼氏からふられるのもわかるわけだよ。!\(`〇´)/」

美穂、触れられたくない話題をされてかカチンと・・・。

美穂
「うるさいわね!漏らしちゃえなんて冗談に決まってるでしょ!過ぎた事いつまでも根に持ってんじゃないわよ、男のくずが!(#⊳Д⊲)中2になっても魚以外好きになったこともないオタクのあんたが、いっちょ前にませた事いってんじゃないわよ。」

美穂、大声でしゃべりながら急に何か思い出したようにその場に立ち止まると、手提げかばんの中を探り出して・・・ようやく見つけた携帯を手にしてため息を漏らすと独り言のように・・・。

美穂
「やっぱり・・・。あんたとのくだらないおしゃべりのせいで、夕べは携帯の充電すっかり忘れてたわ・・・。しばらく使いすぎで反応悪かったから急いで充電しとこうと思ったのにどうしてくれんのよ、本当信じらんない。いそがなきゃ送れちゃうし、もう。(>__<)/」

美穂、図に乗りすぎるそんなひとしの反省したような反応に満足してか・・・。

美穂
「まあ、今となっちゃどうでもいい戯言のような思い出だけどさ。あんたは今になってもたわけのまんまなわけだし。おかげで免疫ついたってゆうか、あれからくだらない連中にどんなに見下されようがもう痛くもかゆくもないわ。!\(⊳▽⊲)/ていうか、あほ相手に本気になって切れてたあたしが恥ずかしい。」

再び、ムキになるひとし・・・。

ひとし
「なんか馬鹿にしてるでしょ、それ絶対!\(⊳〇⊲)/自分が持病もちだからって棚に上げてひがんじゃってさ。お姉ちゃんだって頭の中、ぜんぜん子供の頃のまんまじゃないか!まるっきり成長してない!」

美穂、もうひとしの嫌味も届かない。いつのまにか開き直ったような明るい表情に変わって・・・。

美穂
「よし、頑張って速足で歩いたおかげでなんとかいつも通りに着けそうだわ。携帯は反応ほとんど死んじゃったみたいだけど。一日くらいなんとかなるでしょ!\(⊳▽⊲)/」

ひとし
「(聞いてない・・・!)(-_-)」

ひとし、調子のいい美穂にあきれてもう何も言わずふてくされて恨めしそうに見つめているといつのまにか美穂がだいぶ気分を取り戻したような笑みに変わって・・・。
美穂
「まあ、なにはともあれあたしにはあたしの生き方があるのよ。(*^_^*)あんたもせっかく昨日やりたい事決意したんだから、頑張ってともだちつくりなさいよね。生涯、友達ひとりいるのといないのとじゃ、やっぱりいた方がいいに決まってるんだから・・・。」

ひとし、少し照れてるのかいじけてるような顔をして・・・。

ひとし
「わかってるよ、そんな事・・・!\(`〇´)/」

美穂
「あたしも高校の時に出来た友達とは忙しくなってお互いにだいぶ離れちゃったけど、あの子なりに一生懸命がんばってるんだろうなって時々思い出したりしてエネルギー貰ったりしてる。(*^^*)だからあたしも全力で今の職場の彼氏にもっと近づけるように頑張らないと。いつどうなっちゃうか分からない持病もちの人生だったらなおさらね・・・。(*^_^*)」

姉の穏やかな笑みにしだいにゆっくりと高ぶっていた興奮と苛立ちがおさまって行くひとし。姉はやはりどこまで行っても自分の姉なのだと何だか不思議な気持ちを感じていた。

沢山の彩られた桜並木のすきまからいつのまにかほのかで暖かい木漏れ日の光りがふいに見上げたひとしと美穂の姉弟の身体をやさしく照らすように包み込んでくれていた。

心地よいそよ風と共にどこかから小鳥の透き通るようなさえずりのねいろが聞こえてくる。

そんな和みの空気に浸っていると、突然美穂が歩行者の見える歩道の方に何か気づいてか裏返ったような声で・・・。

美穂
「う、うそあいつ・・・\(◎Д◎)/!ま~た新入りの女子社員たちとじゃれあってる!\(⊳Д⊲)/」

怒りの生命が燃え上がった姉の視線の先には数名のつるんだ若い男女が楽しそうに地下鉄の外の歩道を歩いている。とはいっても男は1人だけど。

ひとしも姉のただならぬいきどおりにあわてて振り返って・・・。

ひとし
「な、なに?あの人お姉ちゃんの彼氏?\(◎o◎)/!クリスマスの発作で公園でベンチに置き去りにされたって言ってた。」

ひとしの品のない言い方に美穂は反射的にグーのこぶしで頭をこずくと・・・。
ひとし
「ぎゃあ~。(痛い。)\(☆Д☆)/!」

美穂
「じゃあ、あたし行くから!\(⊳〇⊲)/あんたもぼけっとしてないで、早く歯医者に行かないと習字の時間、間に合わないわよ!」

美穂は顔を真っ赤にしながらそう言うと、急いで彼氏やみんなの背中を追いかけていった。ひとしにはあまり見せたことのないような緊張気味な姉の表情に小突かれた頭をさすりながらひとしは姉を見守るように向かう先の男の後ろ姿に再び目をうつす。

ちらりと、話してる彼女たちに振り向く横顔。
茶髪で背が高くて、鼻の下を伸ばしたような頼りなくも、あどけない表情。めがねをかけているせいか少し父の面影ににているような感じがした。

心地よい透き通るような香りの風が桜の木々になびくように、再びひとしの身体を後ろからやさしく抱きしめた。