レッサーパンダパスカルくん!第2話「あたらしい家族!」

親元を離れて、人間の住む街に山から降りてきたパスカル。自身の自立の為、人間界の荒波にさらされながら新しい家族を探して、ようやく親切なひとりの少年、史郎(しろう)と出会う。レッサーパンダのお父さん、アライグマのお母さんの両親や兄弟達に過保護に可愛がられて育ってきたパスカル。果たして人間の世界で絆を深め合ってゆけるのでしょうか?
ほのぼのコメディーのタッチで描かれてゆく、パスカル達の成長をどうか皆さま優しく見守って下さるよう、よろしくお願いいたします。

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登場人物

パスカル・・・レッサーパンダとアライグマの間に生まれたオレンジの毛並みの子 無邪気?で明るい甘えん坊 鳴き声、ああ~、わあ~い等

金島 史郎(かなしま しろう)・・・パスカルの飼い主 平凡で面倒見がいい性格の男の子 高校2年生

N・・・ナレーション つっこみ


第2話 「あたらしい家族」

〇日の当たる坂道を史郎とパスカルが登ってくる。ガラガラの車体のついた折り畳みベッドと史郎の後ろに抱き着いて離れないパスカル。しかもふろしきの荷物を抱えたままなので、史郎の背中にかかる負担は大きい。ぜえぜえ息をきらした史郎がパスカルに言い聞かせるように・・・。

史郎
「ねえ・・君。まだ僕のうち、君を飼えるかどうか分からないよ?お姉ちゃんは、毛皮の動物嫌いだし、だめよしにネコアレルギーまで持ってるし・・。すぐに追い出されちゃうかも・・ハア・・ハア・・」

N、ネコじゃねーぞこいつは。

(パスカルは聞いてるのか?いつのまにかスースーと寝息を立てていた。慣れない人間の街に来て歩き回ってくたびれたのだ。)

(史郎はため息を漏らして、あきらめるといきなり歌を歌いだした。)

史郎
「この坂道登ったら~♪ 僕のおうちがあります~♫。」

N、子守唄のつもりか?

(カラスもカァカァ鳴いて、幸せそうな寝顔のパスカル。ご満足そうです)

〇のらりくらりと2階建ての一軒家(史郎の家)の前にようやくたどり着いて、部屋のなかへ・・・。

(史郎、疲れた顔で)

史郎
「ただいま~。」

(だれも帰っていないシーンとした部屋中の静けさが史郎に眠気をさそわせる)

史郎
「どっこらしょっと・・。」

(ひとまずベッドを土間に置いてしりもちをつく史郎。ハァ~と大きくため息をつくとそのまま床にもたれて寝てしまう。パスカルをおんぶしたまま・・。)

N、パスカルは荷物がまくら、史郎はパスカルがまくらってか。

(お日さまの光りがほんのり茜色に染まり少しずつ西に傾きはじめる頃。すでに1時間が経過して。パスカルがふわぁ~とひとあくびで目を覚ます。見慣れない空間、初めて見る部屋の風景に興奮して・・。)

パスカル
「わあ~い。」

(大はしゃぎのパスカル。背負っていたふろしきをほっぽりだして部屋中を飛び回って歓声の声をあげる。史郎もパスカルが飛び上がったひょうしに頭を床にごーんと目覚めて・・。)

史郎
「ああ~だめだよ、その毛布にくるまっちゃ。お姉ちゃんのだから毛皮でもついたら怒られちゃうよ。」

パスカル
「ああ~っ。」

(笑顔をくずさず、史郎の言葉に納得したように次に目にとまった大広間にあるソファーに興味しんしんと飛び乗る。ちょこんと座り直して笑顔で横を見ると大きなみどり色のゴジラの人形に驚いて)

パスカル
「ふわぁ~っ。」

N、いちいち反応がおもろいなぁ~。

(毛を逆立てて、あわててソファーのうしろに隠れるパスカル。どことなくおびえたように震えてこっちを見ているのに史郎が気づいて。)

(史郎、パスカルをたしなめるように・・。)

史郎
「ハハハ・・。これはぬいぐるみだよ、全然こわくないよ。お父さんが温泉のおみやげで買ってきてくれたゴジラーくんだよ。君に会えて嬉しいって言ってるよ。」

N、名前がそのままじゃねぇかよ。

パスカル
「ああ~っ。(アチョ~オ。)」

(パスカル、ぬいぐるみだと分かると急に強気になって、いきなりゴジラーのお腹めがけてボディキックをかます。)

史郎
「こら、こら~。」

(史郎があっけに取られているひまもなくパスカルはまた次の興味へと、となりの部屋へ走り出す。まだ子供だけあって、好奇心が豊富なせいか、そのエネルギーに史郎もついていけない様子。)

パスカル
「わあ~い。」

(はしゃぐように窓際に見つけた丸い形の金魚鉢に向かって飛んでいく。四つ尾の紅白の流金が2匹ゆったりと中を泳いでいる。史郎、あわてて・・。)

史郎
「あ~あ、だめだよ金魚食べちゃ。お母さんに怒られちゃうよ・・。」

N、母ちゃん姉ちゃん怖くて、家族やってられるかぁ~。

(が・・瞬間パスカルが飛び上がったはずみでうっかり金魚鉢に頭がバシャンとはまってしまう。丸い形だけにすぽんと見事にはまって、ゴボゴボと苦しそうにあわてふためくパスカル
このままでは頭だけおぼれ死んでしまう。)

N、頭だけとは器用なやつ。

史郎
「あ~りゃ、りゃぁ~・・。」

(史郎もあわてて引っ張るがどうしてもぬけなくて、とっさに部屋のすみに飾ってあった花柄のかびんをかかえ走ってきて「えいっ。」と鉢に振り下ろした。2回、3回目でようやく鉢が二つにバリンと割れて、水しぶきがいきおいよく四方八方に飛び散ってパスカルは苦しさから解放された。丈夫な花瓶もひび割れてしまったが・・。パスカルはせき込んですぐに笑顔で・・呑み込みそうになった金魚を口からはきだしながら。)
(まるで、苦闘のなかから見つけ出した宝物でも差し出すかのように・・・。)

パスカル
「らあ~、らあ~。(キラキラ)」

史郎
「はいはい。ビー玉がきれいだね~。」

(鉢の底に沈んでいたビー玉が目当てだったのか?そのなぜか憎めない愛らしいパスカルの表情に史郎も一緒にずぶぬれになってやれやれと笑顔を見せると床ではねてる金魚を気にしてぞうきんとバケツを取りに行った。)

N、やっぱ男だねぇ~史郎。しかしこいつ、ほんま世話のやけるやっちゃなぁ~。

(史郎が床をふいていても目が離せないパスカル。バケツの中を何事もなかったように優雅に泳いでいる金魚。)

パスカル
「わあ~い。へっくしょん。)

(くしゃみをしながら今度は台所へと飛び跳ねていく)

史郎
「あ~ちょっと。台所朝のまま散らかってるから、あんまり乱暴なこと・・。」

パスカル
「ああ~~~あっ。」

(が、史郎が言い終わらないうちに今まで以上のパスカルのにぎやかな叫び声が家中に響いて・・。史郎もかなり疲れ果ててしまい、つい大声で。)

史郎
「今度は何ぃ~!。」

(だが、様子を見に行くとそこには涙をあふれ流したパスカルがテーブルの上でちょこんと座り目を潤ませて・・。)
(史郎、驚いて・・。)

史郎
「どど・・どうしたの?が・がびょうでも踏んだ?!」

N、がびょう踏んで、がっびょ~んて? どんだけ散らかってんだよ。

(史郎の問いに、パスカルはようやく口をふりしぼるように泣きながら純粋?な目で。)

パスカル
「うっうっ。か、から揚げが・・おいちいの。」

N、しゃ!しゃべったぞ?(◎_◎;)

(パスカルの両手には焦げたから揚げ?らしきものがしっかりとつかまれていた。手前にはお皿に山住みのから揚げが?)

史郎
「本当?ハハ・・失敗作なんだけどなそれ。朝寝坊してついうっかり寝ぼけてて揚げ過ぎちゃって。そっか、よっぽどお腹が空いていたんだね。」

N、驚かねえのかよ?\(◎o◎)/!

史郎
「へっくしょん!その前にちゃんと身体をふかないとね。」

(パスカルは満足そうに焦げたから揚げ?を心地よく満面な笑顔で食べ続けていた。史郎に後ろからドライヤーで乾かしてもらいながら。新しい家族のぬくもりを感じながら・・。)


つづく
☆愛きょうたっぷりで、どこか憎めないパスカルくん。だが次回は幸せな時間もつかの間、史郎の姉(動物ぎらい)が帰ってきて家中が血の海に。?