思春期お絵描きブログ

主に思春期の心情風景をテーマにしたイラストを描いています。辛気臭いものが多いですが、どうか、よろしくお願いいたします。<(_ _)>

暗黒の魔術師!(ブラックピエロの怪!④)閲覧注意!

f:id:a919255217:20181101210252j:plainハロウィン事件。ブラックピエロの続きです。パート4のラストです。ハロウィンで捕らわれた子供たちの人肉の大量の詰め合わせです。パンプキンのランタンも限界のせいか顔中から勢いよく血しぶきを吐き出しています。
四方八方、てんじょうやゆかに飛び散った生温かくも生臭い匂いを放つ、独特な液体の血の雨がふるよ~。
苦手な方は閲覧をご控えください。

激辛とうがらし地獄!

f:id:a919255217:20181006104043j:plainオリジナル小説「少年の嵐!」の挿絵用に描いたものです。のぶおの同級生の河井隼人と、アライグマに変身したのぶおです。辛い物好きの隼人に持ってきた、しし唐の実だと思ったのが、実は激辛のとうがらしの実だった。中華麺をゆでながらとうがらしの実が入ったチャーハンを味見した二人はまさに口から火吹きの激辛地獄です。頭が朦朧とした隼人の周りをどんぶりの模様の不死鳥が二匹怒って、あおるように飛び回っています。

それでも太陽は赤く染まる!第24回「暗闇の戦士たち!」

f:id:a919255217:20180930115722j:plain図書館で時間をつぶしそれでもまだ、帰る決心がつかなくて少し離れた大須の熱帯魚屋まで自転車で足を運んだひとし。そこで欲しかった安価のツメガエルを見つけ気分が一気に上昇したのも虚しく、買ってから、ポケットにあるべきはずの保険証が見当たらないのにきずいて頭は一気に真っ白に・・・。

第24回「暗闇の戦士たち!」

ひとし、店を出て、手に冷や汗をにぎり、冷めていく思考の中で必死に朝からの行動をたぐりよせる。

ひとし
「(確か診察のカードと一緒に歯医者で受け取ったのは何となく覚えてるけど、だけど今までポケットには財布以外の感触がずっとなかったような・・・。(>_<)あああ、そのあと自転車で梶谷にぶつかって倒れた時、別に道路にはカバン以外飛ばなかったきがするし、う~ん。それで梶谷と口論になって、すきをみて必死で逃げてきて・・・。)」

ひとし、自転車にまたがりあたりの街灯がともり始めるのを見ながら、さらに記憶を呼び覚ます。

ひとし
「(あっ、その前に、先輩に胸倉思いっきりつかまれて携帯出せとかってポケットに強引に突っ込んできたよな。猛獣みたいな顔して!でもそれは後ろぽけっとだったし、前のポケットが狙われる前に逃げてきたから・・・。まさか振動で落ちて・・・。Σ( ̄ロ ̄lll)!そのあとは無我夢中で走ってきたから覚えてないや・・・。けどやっぱ・・・!あそこらへんのどこかで落としたとしか考えられない。(>_<)」

ひとしは、絶望的な青い顔をしながら、自転車にまたがったまま前に歩くように少し進むと、さらに、追い打ちをかけるような違和感が・・・。

ひとし
「自転車、空気ぬけてるし~!じゃなくてパンクか?\(◎Д◎)/!てか今パンクする!普通こんな時に!そういえば、図書館から乗ってた時変な、違和感あった気もするけど・・・。こんな所でかんべんしてよ~。\(☆Д☆)/!」

心で半泣き状態でさけびながらひとしは、頭回らないながらも、自転車を降りてひきはじめ、もと来た道をもどろうと走り出す。

ちょっと走るとちょうど自転車屋さんらしきバイクとならんだお店が目に入り、外に空気入れを見つけた。ひとしはガラスに貼ってある紙をチラ見すると、パンク料金1,400円と書かれていて・・・。「だめだ、高いや~、家の近所だと800円のとこあるし!」とあきらめたように、自転車を止め空気入れを持ちいそいそと入れ始める。

ひとし
「(前に確か、パンクした時、空気いれたらしばらく乗れた時あったんだよね。ひょっとしたらただ空気がちょっとぬけただけかもしれないし、って、そんな事ないとは思うけど。どうか、家につくまで持ってくれないかな~。)」

辺りが本格的に暗くなりはじめ大須のまわりにネオンが光りはじめ、ますます焦りを感じるひとし。前のタイヤにパンパンに弾けるくらい入れると。すばやく空気入れがもとにもどし、またがり突っ走る。

ひとし
「絶対、ないかもだけど、やっぱりあの場所行かなきゃだめかな~。あっても誰かとっくに拾っちゃってるだろうし、相手が梶谷だけはさけたいなほんとう。もしあの人が拾ってたら、僕の住所知られちゃうし恐怖しかないよ。なんせ逃げてきたんだから!あんとき逃げなかったらぼく絶対死んでたよね!人間じゃないよあんなの!」

大通りの信号が赤信号でひとしは空気が抜けちゃうんじゃとそわそわしながら、左右に行きかう自動車の音を聞く。

ひとし
「そういえば、この辺栄だけど、さやかに会わないね。まあもう夕暮れだしとっくにバレエの発表会は終わってるかな!そうだよ!もとはと言えばさやかがあんな奴(梶谷)といちゃちゃしてるからいけないんだよ。八方美人だよね本当。それと朝の自転車事故とは別だけど、まったく関係ないわけじゃないし!その事で習字でもさんざん美咲にからかわれてさ、挙句に先生にまで一緒にしかられて・・・。」
ひとし、青信号を渡り始め、表情がさらに険しくなり無い頭で考える!

ひとし
「うん?(-_-)だけど、となると・・。違うか!今日のいやな事って全部梶谷にかかってくるじゃん!自転車のパンクにしても梶谷にぶつかったのが原因だし!まあ、焦ってたのは歯医者の神山の長話しのせいだけど・・・。それいったらきりないか!ああ、なんで僕のまわりにはろくな人間がいないんだろ!なんか、僕って怒ってる時が一番頭の回転が良い気がする。自慢じゃないけど。そういえば、ピンチの時に人は潜在能力が出やすいってなんかのラジオできいたな!それって、アニメだけの話しかと思ったけどまんざらじゃないのかな!わあ~っ。Σ(゚Д゚)」

無意識に思考が周っていたせいか、向かう先々の信号に反応がにぶくなっていた。赤信号で思わずわたりそうになったが、急ブレーキでなんとかとどまった。
ひとし、手に再び汗をにじませながら、心臓の鼓動がはやくなって・・・。

ひとし
「やばい、やばい!考え過ぎると僕って周りがみえなくなっちゃうのかな!Σ(゚д゚lll)確かに朝もこんな感じだったからぶつかったような気がする!スマホ運転の先輩の不注意もあるけど・・・。ライトつけよ!」
一度、自分の言動を改めたのか興奮が覚めたひとし、いつのまにか、もう蒼い町の交差点近くまできていたが、暗くなってきてよく判断が出来なかったのだ。

ライトをスイッチを入れて、信号待ちをしていると、騒がしい声が聞こえてきて向こう側に自分と同じらしき学生の姿がぞろぞろと歩いてきて信号待ちをしてるのが見える。自転車に乗ってる人も数人いてスポーツバッグを肩にかけたりしてるから梶谷先輩と同じ部の連中かもしれない!似たようなユニホーム着てるし!精神的にひとしはちょっとビクンとなって遠回りになるがもうひとつ向こうの信号から渡ることにした。

暗いからお互いの顔は見えないと思ったが、渡るすれ違いで観えたらやはり恐怖しかなかったのだ。

自分が渡りだすと、向こうの連中もにぎやかにしゃべって渡るのがみえる。ひとしは、ちょっと浮かない顔をして、本当なら、自分と同じ年頃の人たちは、あんな風に、みんなと一緒につるんで笑ったりして学生生活を送ったりしてるんだなと。まともじゃない自分がちっぽけな存在に感じてしまい悲しくなった。

そんな気持ちをよそに押しいれて、朝逃げ走ってきた細い通りを裏から周って、「どこだ、どこだ、保険証!」とすっかり気力を無くして、亡霊のように呟いて、梶谷と、もめ事があった場所までゆっくりとペダルを走らせてきた。

ひとし、ため息をもらし、でも誰もいないか用心して周りをきょろきょろしながら道路をしじゅう見渡して・・・。

ひとし
「やっぱり、ないよね~。(-_-)こんな所に落ちてたら絶対に目立つから、だれかひろうだろうな・・・。というかやっぱりタイヤの空気がまた抜けてきたし!間違いなくパンクだなこりゃ!ああ、なんて人生だ!生きてたって楽しい事が全然ない!はあ~。」

ひとしはついに自暴自棄になってあきらめたように、最後にすぐ裏にみえる蒼公園にトイレをすませて帰ろうとした。身体がけっこう冷え切っていたのだ。

が、ついくせで公園の道に曲がってからも辺りをきょろきょろと梶谷らしき人物が混じった不良集団が近くにいないかみてしまう。時計も木の葉に隠れて見えにくくて早くタイヤの空気が全部抜けてしまう前に帰りたいと考えてたとき何やら反対のだいぶ向こうの道からいきなり犬のはげしく吠える声が・・・。小さな黒い影の子供が2人、犬をひもで引き連れてこっちの道に向かってくる!

憂鬱に考え事をしていたひとしはさすがに、うっとおしくなってやっぱりさっさと帰ろうと焦って向きをかえようとした、だが、いた場所がちょうど街灯がなく暗くてみえにくかったために、前のタイヤが道路わきの溝にあたってはさまってしまいバランスがくずれ自転車を倒してしまう。

ガシャンと響くのと同時に振動で前かごから手提げかばんとカエルの入ったビニールが飛び散り動揺したひとしは急いで拾い直したが、すでに遅くビニールがやぶれて道路に水がにじみ出てカエルまで飛び出してしまった。

ひとしがパニクッてビニールに手でつかんで戻そうとしたが、暗い道路の上でぴんこぴんこと勢いよく跳ねて3匹とも別方向に飛んで行く・・・。
その光景に犬もさらに興奮したのか、飼い主の子供らしき手からひもが離れ大きな声で吠えながらひとしに向かって走ってきた。

ひとし
「ふぁああああ~~~~!\(☆Д☆)/!」

ひとしの声が甲高く悲鳴に近い声をあげるのもつかの間、猛スピードで走ってきた白い犬がいきなりぬれた地面ではねてる一匹のカエルをすばやく、するどいきばでくわえるようにかみついた!そして低くうなるように首を数回激しくふるとぶちっと残酷な音と共にカエルの下半身が地面にちぎれ落ちた!

暗くてよく見えなかったのが幸いだが、ひとしには、グロすぎてとてもまともに見られない光景だった。Σ( ̄ロ ̄lll)

ひとしが情けない顔でその様子を言葉を失ったように眺めていると、向こうから犬の飼い主らしき小さな子供が、「ごめんなさ~い。大丈夫でっか~!」とものすごく張りのある高い声で走ってきた。

そして、興奮した白い犬を「ぺス!ふせ!」と両手て抱きしめるようになでまわして、犬はするどい歯をひとしを、にらんでみせながらも少しおとなしくなった。

公園のさくに情けなくもたれかかっているかっこうでひとしは、走ってきたこの幼い声の子供が昨日夕暮れ学校でみた用務員と夜一緒にいたあの少年である事がわかった。しかも追いついてきたもう一人の子供は今日昼間書道教室に見学にきていた無表情の眼鏡の少年だった。

ひとし、ゆっくりとさくにもたれながら起き上がって!

ひとし
「べ、別に僕は大丈夫ですけど!カエルが・・・。」

初めて口を聞くせいか年下の少年にも緊張してしまう・・・。

昨日、夜学校で見たときより、少年の髪が野球部のように短くさっぱりしていた。

少年
「カエルっすか?」

少年はちょっとおかしな顔をしてみせたが、少年が犬ののどあたりをさすってるすぐ下にいる残骸をみて言いたい事がわかったのか、深々と頭をさげて・・・。

少年
「どうも、すいませんしたあ~!」
まるで、近くにいると応援団のような大きな声!声変わりをしてない幼い声色だが、小柄なのに、すごい甲高い迫力だった。おまけに辺りは、暗くて静かだからすごくよく響く!やはり昨日、夜学校で用務員といた時の威勢の良い声の主に間違いないとひとしは思った。

ひとし、そんな張りのある大声で深く頭をさげられなんて返したらよいのかわからなくなり・・・。

ひとし
「い、いや~、もともとエサようで売ってたやつだから!死んじゃったものはしょうがないし!それと、カエルがあとそっちとそっちに二匹いるんだけど捕まえられなくて・・・。」

ひとしが地面でもぞもぞしてるカエルたちを指さすと、少年は・・・。

少年
「あれっすか?僕が捕まえますか!」

ひとしの返事もまたず少年はまたう~っとうなって暴れて飛びつきそうな犬を隣りの眼鏡の少年に・・・。

少年
「陸(りく)ぺスちょっとおさえてて、離すなよ!( ̄○ ̄)」と犬を預けると両手で一生懸命おうように逃げるカエルたちを必死で飛びつくように捕まえようとしてくれた。

眼鏡の少年はただ、良まれた通り白い犬に覆いかぶさるようにかかえながらその様子を無表情で眺めていた。

ひとしも、無心でその少年の姿をみてると、やがて・・。

少年
「これ、どうしまっか!(・○・)

少し荒い息づかいでよごれた両手でつかむようにひとしの前に差し出してくれた二匹の砂だらけの見分けのつかなくなったカエルだが・・・。少年の青い薄いジャンパーの両ひじの辺りもぬれたように汚れていた。

それにしても、喋る度に少年の発するひと言ひと言が迫力のあるでかい声のせいか、ひとしはなんだか、心臓の鼓動が弾けるように興奮していた。威勢のよさは昼間、しめられた梶谷のがなり声よりも勝ってると思う!

ひとし
「ああ、ありがとね・・・。でも袋がやぶれちゃって今入れるものが・・・。」

少年、ためらいなく片手でカエルをにぎると地面にあったたスコップの入ってた袋をさしだして・・・。

少年
「じゃあ、これ使って。ぺス今日、うんちしなかったから綺麗っすよ、おいら達すぐ家そこっすから・・・。どうぞっす!( ̄▽ ̄)」

くもりのないきれいな張りのある声だが、ちょっとさっきより親しげというか声色がほぐれていた・・・。

ひとし
「ええ!でも・・・。それは!(-_-;)」
(ひとし、綺麗って、ひょっとしていつも、洗って使ってるとかじゃないよね!絶対!)」

ひとしが言う前にもう少年がふくろにカエルを入れて差し出してきた。

ひとし
「あ、ありがとうね!(#^ω^)」
(ひとし、聞きたいけど、こんなけ親切に言われるとなんか失礼になるよね。このさい、仕方ないか!(>_<))
だが、街灯のない暗い場所なのに少年の不思議と穏やかなオーラというかひとしは初対面なのになぜか自然と

言葉がストレートに出せる安心感を感じた。

少年は汚れた小さな両手をパンパンはたきながら子供っぽくズボンにねだくっている。

ひとし
「(なんか、変に安心したら、またトイレに行きたくなってきたな・・・。)」

倒れた自転車を起こすとひとしは、最後にもう一度お礼を言おうとした時、完全に前のタイヤの空気がぬけてぺしゃんこになっているのにきづいた。

これ以上この子たちに変に迷惑をかけたくないと思ったひとしはすぐにその場から去ろうとさどるにまたがろうとした時、「なんか、空気抜けてないっすか!」

ちょうど前のタイヤで目にとまりやすかったせいか、少年の方もすぐに異変に気付いた。

ひとし
「あ、いや、パンクだから!大丈夫!どこかで空気入れれば・・・。(お願いだからトイレ行かせてくれ~。(;^ω^)」

少年
「僕のお父さん、自転車も仕事でなおしてるから、今から来やすか!パンクならすぐなおせるっすよ!」
ちょっと、得意顔の少年、そんなにイケメンじゃないけど、ひとしにはすごく、笑顔がまぶしくうつった。その表情にうっかり飲み込まれそうになったが・・・。

ひとし
「そ、そうなの!でも、今日そんなにお金ないし!そ、それより今、僕トイレ・・・。」
そんな、遠慮がちなひとしの言葉をさえぎるように少年はなんだかとびっきりの笑顔で、すでにフレンドリーになったような熱い口調で・・・。

少年
「いつでもいいっすよ、そんなの!(^O^)早くしないと店しまっちゃうから!って!え~!もう6時過ぎてるし。こっち来て!陸(りく)、ぺス頼む!」

少年はそう言って袖をまくり腕時計に目をやるとひとしから返事も待たず自転車のハンドルを取り街路樹に生い茂る道路側の道をどんどんひいて歩いていく!

あまり気が進まなかったがなぜかまあ、いいやと、この場合、言われるまま素直についていくしかないかなと思ったひとし。でもなぜか、この少年の好意がすごく、嬉しくてもう少し一緒にいたいとも思った。

(ひとし、あっ、またちょっと膀胱が収まってきた(*´ω`)ふ~!)

いつの間にか、犬(ぺス)は興奮も覚めていて、陸(りく)と呼ばれる無口な眼鏡の少年につれられひとしの後ろに続いて歩いてくる!

最初は礼儀正しく威勢の良い少年と思っていたが、ちょっと強引な所もある。けど何となくあたたかいオーラで包んでくれるみたいな包容力のようなエネルギーのひかりを少年からひとしは感じ、保険証や尿意の事もすっかり忘れ、胸が一杯だった。

それでも太陽は赤く染まる!第23回「アクアリウムの世界!」

f:id:a919255217:20180924191747j:plain騒々しかった習字も終わって美咲と別れ、その後も母のいる家に帰る気になれなかったひとしはコンビニのおにぎりで軽く昼食を済ませ、あてもなくぶらぶらしながら鶴舞図書館にたどり着き、うらない本などを見て暇を持て余していた・・・。

第23回「アクアリウムの世界!」

図書館でさんざん時間をつぶして最後にトイレによってひとしだったが、まだすぐ目前の鶴舞公園にみえる時計が3時半で家に帰るにはかなりの中途半端な時間に感じた。

また母から、「昼ご飯も食べずにどこほつき歩いとったんや!」と言われるのがおちだなと分かっていた分、いやそれ以上にトースターの爆発の後始末を母がどんな怖い顔でしていると想像した方が憂鬱で胸が痛み、ひとしの頭の思考回路が行き場を失って同じところをぐるぐる回って煙火寸前になる。

ひとし
「ちょっと遅くなるかもだけど、大須の熱帯魚屋よってこうかな!(-_-)やっぱどうせお母さんにしかられるなら、お姉ちゃんやお父さんが一緒にいた方が気がまぎれるし、今帰ったら僕だけ集中攻撃でがなられて地獄だよ絶対!(+_+)」

ひとしはため息交じりにつぶやきながら自転車にまたがると栄の大須方面にためらわず走り出した。
ペダルを漕ぎ出すとなんか、さっきよりも前のタイヤがごとごととするような変な感触の違和感を覚えながらもひとしは気にせずゆっくりと無表情で進んで行く!

そしてぶらぶらと走らせてまもなく大須の熱帯魚屋に到着した時にはもうお日さまの色も少しオレンジ色になりかかっていた。
栄にめんしてるせいか人通りも多く駐輪や駐車場もなかったため、ひとしは自転車を邪魔にならないように歩道の端に止める。

見上げると大きなエンゼルフィッシュの描かれた看板がやわらかく店のムードを出している。(フィッシュセンター大須館)

さほど大きくないお店だけど店内に入るといたるところが水槽で埋め尽くされ外との世界観がいっきに一変した。入ってすぐ真横にある巨大水槽にはアマゾンで有名なアロアナや1メートルくらいの古代魚たちがゆったりとこちらをのぞくように泳ぎ回りひとしを出迎えてくれた。ちょろちょろと水流の流れるモーター音がすごく心地よく耳にこだました。

そのおかげか、さっきまで、浮かない顔だったひとしの瞳にも一瞬元気が戻ったように心もゆっくりとだがやわらいでゆくのが感じられた。

普段は父とたまに車で一緒にくる所なのだが、道を覚えるようになってからは、ひとつの居場所として、ひとしも時間を見つけては自転車でくるようになっていた。

最近は金魚に凝りだして熱帯魚からはだいぶ離れていたが、以前はエンゼルやグラミー等おしゃれな魚も家の水槽で何匹か飼っていたのだ。ある日、冬にヒーターが壊れてしまい全滅してしまってからはやっぱり自然の温度で飼える魚の方が楽かもと開き直るまでは・・・。でも本当は死んじゃった事がすごく悲しくて悔しくてしばらくはやり場のない恨みを父にあたったりしてろくに口もきこうとしなかった。

ゆったりと時間が流れる中、春の大感謝祭と特売の値段で表示された熱帯魚たちをひとしはちょっと当事を思い出したのか、くやしそうに眺めていた。
小さくて鮮やかなひれのグッピーや大きくてワイルドな顔のオスカーまで、しばらくひとしは心を奪われたように魅せられていたがやはりどこかで時間だけは気にしていたのか、途中できょろきょろと時計を探す。

ふいに後ろを向くと、大きな水の溢れるすいそうに無数に白っぽい奇妙な生き物が・・・。

ひとしが近づくと四方八方にちらばるように泳ぎ出す。

アフリカツメガエルと書かれていたそれは、ひとしの目にはすごく可愛くみえた。餌用で一匹80円と結構安値で表示されていてひとしは「わあ~、\(◎o◎)/!」っとカエルにも値段にも感動したのか急に晴々とした表情に変わっていった。

確かこのカエル、理科の教科書に生体実験でのっていたやつだ・・・。

ひとし、何だか、ひとめぼれしたように表情が明るくなって・・・。

ひとし
「これなら、家で飼えるかな、4、5センチくらいだから金魚と入れても大丈夫だよね!」

ひとしはじっくりと眺めたあと、奥で水槽の掃除をしていた若い男性店員さんらしき人に速足で頼みに行った。20代後半ぐらいの髪は茶髪にピアスだけどあごひげはやしてあたたかいオーラを感じる。来た時はだいたいあと2、3人の若い女性スタッフやおじさんの店員もいるけど今日はめずらしくひとりの店番のようだった。

いつも父と一緒に来るときもあってる人だからちょっと親しみの感じがあったが向こうは別に変った表情は見せずに「何匹ほしいの!」と穏やかに接してくれた。
ひとしはかなり気分が上昇していたせいかめずらしく大きめな声でいろいろと質問してみる。
ひとし
「これって、金魚と入れても大丈夫ですよね!(*^_^*)」

男性店員、網と器を持ってこちらに向かってきて、曇りのない表情で・・・。

男性店員
「まあ、もともとアロアナとかの大型魚の餌なので金魚の方がこれより大きかったら別に一緒に入れても問題ないと思いますよ。小さいと逆に金魚の方が食べられちゃうかもしれないっすけど。(^ω^)」

所々ヤンキーっぽい言葉を交えてくるが、声のトーンには客に対するぬくもりがあった。凶暴な梶谷先輩とはだいぶ違った。

ひとしは今学校で使ってる教科書で確かツメガエルの生体観察のページがあったのを思い出して・・・。

ひとし
「えさはやっぱパンとかの耳の方が喜びますか!理科の教科書で両手で口で放り込むように食べてたの見たので・・・。\(◎o◎)/!」

店員さん、少し考え込むように・・・。

店員さん
「うう~ん!基本イトミミズとか肉食の方が栄養がしっかりと取れるから、丈夫にしたかったらそっちのほうがいいっすね!パンも食べん事はないけど・・・。バランスがいまいちね・・・。( ̄д ̄)」

ひとし、その言葉を聞いて少しだけ気分が上昇から落ち着きに変わったようだが・・・。父が熱帯魚の時冷凍赤虫と一緒に乾燥フレーク用のイトミミズを買っていたのを思い出した。

ひとし
「(あれ確か、まだ家に残ってたかな~。(-_-))」

店員さん
「それとまだ寒いからヒーターもあったほうがいいかもしれないね、もとはアフリカに住んでるやつだから!まあ、部屋があったかいならいいけど。基本は丈夫といっちゃ丈夫ですけど・・・。やっぱりちゃんと育てたいならきちんとした環境で飼うのがベストっすね・・・。どうしますかね。( ̄д ̄)」

店員は持っていた丸い大きな器で水槽の水面をかけまわしながらじれったそうに、何だかさっきよりもするどい視線に変わってひとしの返事を待っていた・・・。

なんだかだんだん、ぐずぐずしていると店員さんがしまいにしびれを切らしてしまいそうな感じがしてきたので、ちょっと考え込んでしまうひとしだったが、せっかくここまではるばる来たのだから何か買って帰りたいという欲望が勝ったのと、きまずくなってこれから来ずらくなるのも嫌だったので、少し強引に願望するように・・・。

ひとし
「でも、やっぱり取り合えず、家で飼ってみます。部屋は窓閉めればたぶん、あったかいと思うので。大きめの2匹ぐらいお願いします・・・。」

店員さん
「いいですか?入れて!(*^_^*)」

店員さんは別にいやな顔をみせず笑顔をつくるとひとしのいうとおり、指でさしたカエルをたもですくってくれようとした。が、かなり、すばしっこくってなかなか網に入らなかった。

結局、20分近く粘ってもひとしが御指名したカエルはつかまらなくて、だいたいの大きさのカエルを三匹、(一匹小さめのをサービスしてくれた!)ビニールに入れてもらって会計を済ませた。たまたま店内にひとししかお客がいなかったのが幸いで店員さんにさほど罪悪感を感じなくてすんでひとしの多少なりとの、良心もほっとしていた。

ひとしもこれと言ったら聞かない頑固なところがあるから、でもやはり、親身になってくれた人の良い店員さんに、自分のわがままで困らせて申し訳なかったと胸が痛んだ・・・。

レジでカエルの入った袋を受け取ると柱の壁に特定外来種、飼育禁止と書かれたポスターが目に入って、その中にひとしが以前店に来た時いた、青色のザリガニも書かれていた。(レッドクロウブルーロブスター)、オスのハサミの両手の端に赤色の模様のある大型のザリガニだ。

ひとし
「(結構前に小さなやつを飼っていた事があったけど飼えなくなっちゃったのかな。ブラックバスブルーギルまで・・・。お父さんとよく河原で捕まえてたっけブルーギルって熱帯魚みたいでおしゃれな感じがするんだよね。1,000万以下の罰金ってどんなんなの!どんなけの罪なんだよ!絶対払える人いないし!\(◎o◎)/!)」

店員さんに何気に話しついでに聞いてみると、

店員さん
「だいぶ規制が厳しくなってきたからね、海外の熱帯魚とか動物とか、何気に案外きついの多いっすからね、これからもじょじょに飼えなくなるものがどんどん増えてくかもしれないっすね!(^ω^)」
とレジ前で煙草に火をつけながら苦笑いで優しく話してくれた。

ひとし
「(ああ、歯医者の神山とは大違いだな、やっぱりお客相手の店員さんはこうじゃないと!)」
ひとしは少し安心してそう心で精神のバランスをとりながらも、今までかかわってきた人たちの後遺症のせいかまだなかなか素直には心を開けない自分がいた。

が、その時ひとしは、神山の歯医者でとんでもないハプニングに気づいた・・・。

習字の手提げカバンの中やズボンの前ポケットを何かしら交互に探り始め、店員さんが気にかけるようにタバコをふかしながら・・・。

店員さん
「どうかしやしたか~。( ̄д ̄)」

なんだかあせりを隠せないひとし・・・

ひとし
「だ、だいじょうぶです。こっちの事で、ちょっといろいろありまして・・・。Σ(゚Д゚)」

言葉がごっちゃになりながら、レジ前の時計がもう4時半を回っているのにきづくと、ありがとうございましたと店員の口よりも先にお礼を言って店を速足で出て行こうとする。背後から店員さんが「あざ―した!」とヤンキーっぽい声が返ってきた。

再度振り返って動揺するように、会釈をして出てくる時、レジのテーブルの端にいくつかのコップに入った、赤や青の花びらのような魚が目に入った。ベタという闘魚で、オス同士で死ぬまで戦うと言うやつだ。

「そういえば家で前飼っていたエンゼルとかもお互いつつきまわしたりしてなわばり争いのような行動が激しかったな~!」と思考がバタバタしながらもひそかに思い出した。

ひとしは何か考えてなきゃどうにかなっちゃいそうな真っ青な顔をして急速に思考を回しながら頭の中で気をまぎらそうどうでも良い事を考えてズボン全体のポケットにかわりばんこに手を入れて・・・。

ひとし
「(な、なんか、魚の世界って人間みたいにすさまじい感じがするな~!弱肉強食の社会、嫌だよな~それ~!(>_<)確か一年の頃、理科の山岡にテストで間違えてそう書いてぺけ打たれたっけ、答えは食物連鎖とか、どっちも答えなんか大差ないじゃんか!あんな先生が今年の担任なんてほんとどうなっちゃうんだろ!(+_+))」

熱帯魚と理科と新任とパニックがいつのまにか頭でごっちゃになって、わけわからなくなりながらひとしはすっかり日が落ち始めてひんやりとした空気が流れる外で歩道の端に止めてある自転車まで小走りで走ってきてカバンと買ったカエルの袋を前かごに放り込むと、ようやく思考が停止したように下を向いて・・・。

ひとし
「(保険証がないや!?どこにも!Σ(゚д゚lll)ガーン)」

さっきまでうなぎのぼりだった気分がひとしは急速に冷めていくのがわかった。

それでも太陽は赤く染まる!第22回「陽のあたる場所!」

f:id:a919255217:20180920170443j:plain自転車事故のせいで相手の(同中)先輩の梶谷に激しく追い立てられたひとし。ぼろぼろになった精神を早く落ち着かせようと書道教室にたどり着いたのもつかの間、ちょうど空いてて座った真後ろの席がさやかのおしゃべり好きな妹の美咲だった。からかいざまにはやし立ててくる美咲にひとしもつい苛立ちの熱が入ってしまい、結局言い合いになってるうちに先生に怒りの雷を落とされて、精神も安らげずやれやれと教室を後にする事に・・・。

第22回「陽のあたる場所!」

お昼の12時半過ぎごろに先生はあわてて、きてくださった保護者の方々に改めて挨拶をしているのを横目に、結局終わるのがどべになってしまったひとしはマイペースに書道具を片付けている美咲をすり抜けるように外に早々と出ていった。だがすぐ、後ろから「にわとり、早いわあ~!(^O^)」とけろっとした顔でドタドタと走ってくる。

ひとし「(うるさい!(#-_-))」と振り向きもせず心の中でまだ不機嫌面だ。

駐輪所の所では、さっき授業の見学をしていた眼鏡少年が相変わらずの無表情顔で小さな段差のある階段で腰を下ろしていた。急に外に出てきたせいか道の道路へのお日さまの光りの反射がひとしにはすごく、まぶしく感じられた!

「先に帰ってて、良かったのに!」と少年を見てちょっと面倒くさそうなふくれっ面をする美咲だったがだいぶ、お昼も過ぎてたので自分の小さなピンクの自転車をひきだすと、「にわとりバイバ~イ!\(^o^)/」とひとしをいたずらにチラ見するやいなやそのまま眼鏡の少年もまたずにペダルを漕ぎ出して先に行ってしまう。
眼鏡の少年もあまり慌てた様子は見せなかったが、乗ってきていた黒の小さな自転車にまたがると美咲を追うようにペダルを漕いでいった。

少年の自転車は補助輪が後輪の左右についていてガラガラとスピードが若干遅めだった。

ひとしは、「確か美咲と同じ3年生じゃあ・・・。(-_-)」と、もう突っ込む気力もなく走り差っていく二人をしばらくぼんやりと眺めると、ため息をもらすように自分の自転車にまたがり、つかれてまわらない頭でこの後の計画をたてようと美咲たちとは反対方向へと、ペダルを漕ぎ出す。カバンを入れた前かごがガタガタとうるさい。

その音のせいかまたさっきの怖い顔の梶谷先輩が脳裏にリアルに浮かんできてひとしは慌ててブルブルと首をよこにかきけそうと必死で別の思考を頭に呼び出す。

ひとし、憂鬱そうな顔で周りを見前足ながら・・・。

ひとし
「(さて、どうするかな。このまま家に帰ったって朝、爆発したトースターの汚れで絶対お母さんに怒られるだろうし・・・。お姉ちゃん今日も遅くなるかもしれないし・・・。う~~~ん!取り合えずお腹すいたしどこかのスーパーでおにぎりでも買おうかな!)」

気持ち良い青空に光り輝くお日さまを眺めながらひとしは、あくびをするといつのまにか、今日さやかがバレエの発表会をしていると習字で美咲に聞かされた栄方面に無意識に自転車が向かい始めていた。
途中で方向先が合流しそうな感じがしたので、美咲たちに出くわさないようにわざと大回りをしながら・・・。

だが、行く道のりの先に目だったスーパーはほとんどなく、仕方なしに通りすがりにあるコンビニに入る事にした。
「コンビニセブン」、おにぎり期間限定全品100円と書いてあった。けど、店内に入ってもひとしのお気に入りのシャケはなく、野沢菜、豚角煮とあまり普段口にしない二択しか残っていなくて、しぶしぶ豚角煮を選んだ。お昼過ぎだからお客さんもちょうどにぎわってきた後だったのだろう。レジのぽっちゃりとしたおばさんもひと段落してほっとしたような表情だった。

だが外に出て、自転車にまたがって一口かじってみると豚肉と言うよりは脂身をかじったような感触がごはんにまじりながら口中に広がってきて、ひとしは思わずおえっとなって涙混じりに戻しそうになった。けど通りすがりの人が何人もいるため口から出しかけて頑張って踏みとどまった。

ひとしは肉の脂身全般の味が苦手なのだ!
そうこうしてるうちにもう自転車でサイクリングする気も薄れてきて、ちょうど目の前の電車の線路沿いの先にみえた鶴舞の図書館に時間つぶしがてら入ることにした。

鶴舞図書館は名古屋では一番大きな図書館でひとしもたまに暇をつぶそうと訪れるときがある。好きなジャンルの種類には偏りがあるがそれでも本を読むのは好きな方であった。

自転車を外に止めて中に入るとちょうど心地よい、今日の気温ではエアコンも暖房もいらない空間そのものだった。窓もあいて外から入ってくる風がひとしにはすがすがしかった。警備員の方が室内を行ったり来たりとのんびりとした循環パトロールをしているのも不思議とのどかに見える。

受付カウンターの人達を眺め、取り合えず久しぶりに一階の新刊コーナーの周りをぶらぶらして本棚を眺めてみようかと思ったが、その前に入口付近にあるうがい用の水で口に残った豚角煮の油の味を洗い流そうとそばに行き口を近づけゆすぎ始める。

しかし、やはり他の利用者の方も使ってるせいか、顔を近づけるとうがいして吐き出してたような生臭い香りがもろ鼻に入ってきてまたしても「おえっ!」となった。

ひとし
「(ああ~、今日でもうこれ何回目だろ!最初は梶谷先輩の胸元の汗くささでうえ~っって豚の角煮でおえ~。うがいの水道でおえ~っってすでに三度目かな!ううなんかまともに吸って気分悪い!)」

ひとし、その場から逃げるように本棚がある方へと離れていった。

しばらく本を見渡すとひとしは、趣味のコーナーで金魚や魚の上手な飼い方など数冊手にとり陽のあたりのよい窓側に並べられた椅子の一つに腰かける。すでに隣のいすに座っていたコートをきた中年の男性が寝息を漏らして眠っている。空いた窓の外の風に乗って独特な異臭がした。ホームレスの方だろうか!いたるところの座席によれったい恰好をした人たちが沢山座っていた。今日一番の強烈なにおいだ。ひとしはまたもやうっとなったが、それを顔に出すのは本能的に申し訳ないと感じて、我慢するように匂いのする風を首でよけながらぱらぱらと本のページをめくって眺めていた。

それでもしばらくして今度は反対のイスにお酒くさい香りを放った中年男性が大きなげっぷと共に腰掛けてきて、ひとしはまゆをひそめ匂いに限界になって不満そうに立ちあがった。品の悪そうな酒臭い男性に再度ちらみすると真昼間から真っ赤な顔にできあがっていた。

どこにも行く当てのないひと、ひとしのように暇つぶしの人、図書館は本を見る人だけじゃなくいろんなタイプの人間が集まって来るたまり場のような場所でもある。

ひとしは本棚に持ってた本を戻すとカウンターにみえる時計はもう2時半をまわっていた。ぼーっとしてても時間はこくこくとあっという間に過ぎてゆく感覚にひとしはひとりもどかしさを感じ始めていた時、ちょうど酒臭く居眠りしている男性の後ろの本棚がリサイクル本コーナーとなっているのに気づく。

ご自由にお持ちくださいと書かれていた中に何かいい本はないかとこそこそ酒の香りからさけるように近づいて眺めると、時代小説や実用書などいろいろあったがペットや魚に関する本はなさそうだった。

ため息を漏らしかけると、本だなの端に「あなたの愛情度うらない」とちょっと面白いタイトルのものがありひとしは無意識にてにとって中を少しみてみる。

いきなりクイズのような質問が書いてあって「信じてるわけじゃないけど嫌いでもなくて、ついやっちゃうんだよね。こういうの!(-_-)」とひとしは心でつぶやきながら、試し程度に質問に目を追っていった。窓からのお日さまの光りの反射具合がちょうど開いたページの上をおおうように当たってまぶしかった。

問1
ズバリ!近々、ついてない事が多い!

ひとし
「(うん、多いね!昨日、今日は特に鬱になりかけレベルだよ!)」

問2
ひとのうわさがとても気になるほうだ!

ひとし
「(まあ、気になるかな!こそこそ言われる方は、あんまり好きじゃないけど!(-_-))」

問3
今の自分の性格をなおしたいと思う事がある!

ひとし
「(う~ん、確かに結構根暗の所があるし、人からもよく言われるし、なおしたいといっちゃなおしたいかな!美咲みたいにおしゃべりになるのは勘弁だけど!)」

問4
一日に鏡を一回くらいしかみない!

ひとし
「うん、それくらいしか見てないな!お姉ちゃんはわりとおしゃれにこだわるからどうかわかんないけど!(-_-))」

問5
まんがより読み物の方が好き!

ひとし
「(これは、どっちだろう、最近小説もあまり見てなかったし、どっちかと言うとまんがのほうが字も少ないし楽だから、やっぱ好きと聞かれたらまんがかな!)」

問6
しあわせをしみじみと感じるほうだ!

ひとし
「(・・・!そりゃ今まで何年も生きてきたなかだと感じる事もたびたびあったよ!もっと最近か昔なのかわかりやすく聞いてほしいよ!・・・まあ、いちおう感じるで・・・。(#-_-))」

ひとしは、立ち読みで途中で足が疲れそうになってもしゃがんだり屈伸したりしながら着々と質問の問いを進めていった。

問7
空をとぶのとテレポーション(瞬間移動!)どっちの力がほしい!

ひとし
「(なんだ、この質問は!もし叶うならどっちの能力もほしいけど・・・。今の僕だとけっこう疲れてるからな。精神的に。穏やかなやすらぎがほしい感じがするからたぶん空を飛ぶほうの力かな!何も考えずにしばらくずっと、浮かんでいたい!)」

問8
ひとに言えない秘密が3つ以上ある!

ひとし
「(これは、う~ん!生きてれば言えない事なんて沢山出てくるんじゃないかな・・・!すぐに浮かんで来ないけど僕だって探せばいっぱいあると思う!)」

問9
ひとの話しをよく聞いていないと言われる!

ひとし
「(ああ、いやな事思い出すな~!お母さんにもクラスのみんなや先生にも何気によく言われたっけ~!生きた化石とかしかばねとか!ひどいよね~!(+_+))」

問10
今欲しいのは、彼氏、彼女だ!

ひとし
「(いきなり突発的なしつもんだなあ~。\(◎o◎)/!友達もいないのにいきなり彼女とか、うん?なんでさやかの顔が一瞬浮かんだんだ!まずは友達だよ!欲しいと言えば!あっ、でもいいえの方がまずは友達から、になってた。ホッ!(-_-)」

問11
きらいな友達とは付き合わない!

ひとし
「(これがラストか!まあただでさえ人と付き合うのは神経使うし、きらいな相手だったらなおさら面倒だって感じるかな!さっきの梶谷先輩みたいなのは別次元の人間みたいな感じがしたし。でもあの人は友達でもないし質問とは関係ないか!)」

ひとり納得しながらも回答に進むひとし。

(で、結局の所、僕の愛情度はどうなんだ!(-_-)やってて結構愛情に飢えてる感じがしたから結構強烈な答えかもしんない・・・。なんか見るの怖いな!)なんだかんだ言いながらもひとしは結果表の載ってるページにほんの少しだけわくわくげにめくり、目をやる!

全体ではいの①の数が8つ以上だったあなた。

あなたに必要なのは、どうやら愛情よりも友情のようです。自分の事ばかり考えて友達をそまつにしていない!他人の行動にけちをつける前にまず自分の行動をもういちどしっかりと見つめ直してみましょう!

ひとし、一瞬言葉を失ったように・・・

ひとし
「(・・・!な、なんだか、意外とシンプルで現実的な答えだったな!なんか予想よりも別の意味でショックっていうか確かにそういうとこあったかもだけど、やっぱ失礼でしょこの言い方は・・・!もう帰ろ!(#-_-)」

ひとしは不快な気分になりかけたのか少し動揺しながら雑誌を閉じて本棚に戻そうとした、がその時もう一段したのリサイクル本に生き方、暮らし方と言うシンプルな別のタイトルの実用書に吸い寄せられるように目が行った。

時計の針がすでに3時近くになっていたが・・・。うらない雑誌ついでにと浮かない顔で何気に手に取るひとし!開いてページをめくると、福タイトルに「あなたの生き方まちがっていませんか!」といかにも心に突き刺さりそうな言葉が!

やりきれなくなりため息をもらし速攻閉じようとしたひとしだったが最初の目次の1行に、

「これからの社会や暮らしは個性と精神が大切にされる心の時代です!」と目にとびこんできて、う~ん!と眉間に少し迷って考えたすえ、無意識に習字カバンの手提げにそっと投げ込んでいた!

それでも太陽は赤く染まる!第21回「春台風美咲!」

f:id:a919255217:20180915171038j:plain自転車の衝突事故でぶつかって相手の先輩の梶谷に死ぬほどの制裁を加えられたひとし。やっとの思いで逃れるように走り回り目的地の書道教室に到着し、心身の落ち着きを取り戻そうと入るもつかの間、そこにはまた新たな精神への障害が待ち受けていて・・・。

第21回「春台風美咲!」

トラウマの事故現場から逃げるように走ってきたひとしはある程度の場所まできて再び自転車にまたがりペダルを手あたり次第漕ぎまくった。どこをどうきたのかそれでもいつのまにか通っている書道教室の前にたどり着いた。

外の見慣れた塾の看板の荒川塾教室と書かれた太い文字をみてひとしは安心感を覚える。
心臓はばくばくで少し冷静になってひとしは自分の手や足が小刻みに震えているのに初めて気づいた。死ぬものぐるいで走ってきたせいか他事を気にしている暇や感覚がほとんどなかったのだ。

塾の入り口の室内にみえる掛け時計がもう11時10分を過ぎていた。完全に遅刻だ。ひとしはため息をつくように眉間にしわを寄せる。

ひとし
「どうしようかなあ~!」

さやかに会うのは少し抵抗があったが、今はそれより、さっきまで追いつめられるようにびびらされた3年の梶谷先輩の怒っていた顔や暴言の方が生々しく脳裏に焼き付いていて勝っていた。

ひとしは決心してその記憶を無視してでもかき消そうと呼吸を整えふらつくように手前の自転車置き場に入ろうとした。が、

今日はやけに子供よりも大人の自転車の方が多くて、ひとしの自転車はほぼ定員オーバーで自転車の後ろタイヤが半分の道路に、はみ出し駐車になってしまった。

ひとし、「仕方ないか!」と心でつぶやきながら前かごからカバンをとるとかごがちょっとぐらぐらでへこんでいるのがわかった。

ひとし
「仕方ないや!」と再び魂を吐き捨てるような勢いのため息をはきながら塾の入り口のガラス扉を開き入っていった。

教室の前の廊下では、見た事もないたくさんの大人たちがにぎやかにざわついていた。男の人もいたけど、お母さんらしき女の人ばかりだ。知らない子供も数人いる。たぶん新入生歓迎とかで授業の様子をみにきた保護者の方達だなと、外の沢山の自転車の数にも納得して、ひとしはぺこぺこ「すみません!」と道をかきわけて通してもらいながら進んで行く。

教室に入ると席はすでに小さな子でいっぱいで、5列目の一番前のはししか空いていなかった。先生のすぐ横で気が散ってあまり座る気にはなれなかったがもう仕方がない!
ひとしはおそるおそる机に向かう!

と言っても、荒川先生は別に僕が入ってきたことなど気にもとめていない様子で四角い眼鏡を天井の蛍光灯に反射させながら習字を書いてきた生徒たちの字をみて「ここはもう少し、しっかりと抑えて書こうな!」等、だみ声でいつも通りに相手にしていた。

その方が楽だとほっとして机にかばんを置いて安堵感を感じていたひとしだったが、いきなり「あ~、にわとりが来た!」と甲高い声にハッとさせられる。

保護者よりもこの教室でしゃべっている子よりもだれよりも大きい声だ!耳が痛い!よりによって後ろの席が美咲だなんて!(>_<)

美咲はさやかの妹で今年小学校3年になる。女の子にしちゃ破天荒でしょっちゅう走りまわっておしゃべりでそろばん塾の時はよく先生から注意を受けている生徒だ。しかもぶりっこだ。ひとしにもよくちょっかいを出してくる。おっとりとしたさやかと違ってどちらかといえばひとしには苦手なタイプだ。
(服部なのに、だじゃれにかけて、にわとりとか!(-_-))

それに今日はさっきまで歯医者やら、先輩やらでいろいろとハプニングがありすぎて頭の中の思考が追い付かず静かにしてほしい気分だったのに、そうはさせてくれなかった。

美咲はにやにやして座って、足をぶらぶらしている。真面目に字を書いている様子にはとても見えない!唯一のチャームポイントと言えば、ビー玉のように大きな澄んだ黒い瞳ぐらいだ。ロングな髪のさやかとは対象にヤンチャッぽい肩までのショート髪にかけズボンがひとしには、良く似合ってみえる。何を考えているのかわからないからたちが悪い!

はあ~っと軽蔑な視線を向けながらため息をもらすひとし!
でも、教室内を見渡してさやかの姿が見えなかったのはやはり、少しほっとした。
(ひとし、でもひょっとしたら、彼氏である梶谷先輩のハンドボールの試合の応援に行ってるのかもしれない!)

また暗い思考に考えがむき出したのを察知してひとしは頭から追い出すように首をふると美咲にあたるようにそれでも後ろの廊下にいる保護者の人達も意識し過ぎてか小声で・・・。

ひとし
「なんで美咲が後ろなんだよ!もっとさがれよ!僕が前に座れないだろ!」

美咲、いたずらっぽく・・・。

美咲
「だってこれ以上、さがれないもん!遅刻してきたにわとりが悪い!身体ねじればはいれるよ!こんなふうに!」

美咲は面白がって身体をくねらせてみる!

ひとし
「それでもさがんなきゃ座れないよ!美咲とちがって身体大きいし、これだとトイレットペーパーが入る隙間しかないじゃんか!」

美咲
「( ̄∇ ̄;)ハハハ・・・。トイレットペーパーって・・・。じゃ、にわとりがトイレットペーパーになればいいじゃん。ていうかトイレで書いてくれば!コケコッコーって変身して・・・。てか、にわとり後ろ寝ぐせたってるよ。トサカみたいに!今ならすぐ変身できるかも!!(^^)!」

(ひとし、むきになって・・・。)

ひとし
「なれるかそんなの!朝なおす時間がなかっただけだよ!しかもにわとりじゃないし!鳥の羽で筆が持てるかっての!\(`〇´)/」

(美咲、からかって・・・。)

美咲
「口でくわえて書けばいいじゃん!( ̄▽ ̄)」

(いらつくひとし!)

ひとし
「くたびれて、あご外れるわ!(#`〇´)」

そこにようやく先生がひとしの存在に気づいて・・・。

先生
「ひとし!遅れてきて喋ってないで!お手本の紙取りに来て!美咲もふざけとらんと少し後ろにさがりなさい!( ̄д ̄)」

生徒たちの習字をみながらもまわりの様子はいつも目を通してみてるのはさすが先生で70才まじかな風格がある。

美咲は、「は~い!」と口を膨らませて、しぶしぶ窮屈そうにわずかにうしろにさがったが、それでもぎりぎりで、ひとしはお手本を手に不満そうな顔で仕方なしにそろそろと机の間の隙間に身体を通すように座る。

だがいきなり・・・。ガシャーン!

背中にふいに痛みがはしり

ひとし
「痛あああ~~~!Σ(☆Д☆)」

情けない悲鳴が教室中に響いた!

美咲がふざけて再び机を前にひきだしたのだ。しかも靴うらもあわせて、背中とおしりのダブルであたっている!

美咲
「きゃははは!( ̄▽ ̄)」

先生
「美咲!いいかげんにしなさい!(#⊳Д⊲)」

笑いをこらえるように黙り込む美咲。すると、先生が怒るかと思いきや急に顔をほころばせて・・・。

先生
「かまぼこじゃないんだから!( ̄д ̄)」

何を言い出すのか!とひとし

ひとし(はい?(-_-))

笑みをこぼす美咲

美咲(えっ?(゚∀゚))

先生
「かまぼこは作る時、身がくずれんように木の板の上に張り付けて焼くやろ!別にひとしはちゃんと骨や筋肉があるんだから、わざわざ後ろから板挟みにせんでもくずれる心配なんかないんやで!(^ω^)」

美咲
「(≧▽≦)キャハハ・・・。にわとり丸焼きになっちゃう!から揚げチキンだよ。コケコッコー!」
(ひとし、はずかしそうに・・・。)

ひとし
「(うるさいなあ~。(-_-メ)」

他の周りにいる子達もこらえるように笑っている。後ろの数人の保護者たちの声も・・・。
(先生、そんな事などお構いなしに話を戻してきて・・・。)

先生
「まあ、赤ちゃんの頃はふにゃふにゃで板についとったかも知れんけどな。笑っとる美咲達もそうやて!赤ちゃんの時はみんな骨も柔らかくて歩かれへんかったで板に張り付けられ取ったんや!お母さんに聞いてみ!(^ω^)」

美咲、ぶりっ子になって・・・。

美咲
「ないわ!そんな事、絶対ない!先生だけだよ、そんなの~!(≧◇≦)」

(先生、さらに突っ込んで・・・!)

先生
「本当だて!美咲が忘れとるだけやわ!家に帰って押し入れの中よ~く探してごらん。赤ちゃんの時使ってた背骨ようの板が記念にしまってあるかもしれんで!(^ω^)」

再び教室中の子達がどっと笑い、保護者の方も笑みを浮かべている!

美咲、顔を少しあからめて・・・。

美咲
「ないってば、そんなもん。あったらまじ怖いし!(≧◇≦)」

そこまで来ると、先生もようやく真顔に戻って・・・。

先生
「さあ、もういいからさっさとやりなさい!帰れんぞしゃべってばっかおると!( ̄д ̄)」

教室の空気が自然とおさまりを迎える。先生はよく、こうやって教室の雰囲気を和ませようとする。一番多いのが「先生はまだ若いけどチョークの粉がついて頭が白くなってまったんや!(^ω^)」とかそろばんでも、よくみんなを笑わせてくるのだ!

「いやだ、やだ(≧◇≦)」と怒られて駄々をこねてる美咲を後ろに、ひとしは、いつのまにかもくもくと硯や筆、お徳用100枚入りの習字紙を取り出して、水の液体で墨汁を薄めていた。お手本の赤字は、「春の桜吹雪!」春らしいといえば春らしいとひとりで納得しながら!炭をつけた筆をゆっくりと紙の上に走らせて行く。
それでも、後ろの席の美咲が嫌がらせのようにイスの裏を両足でぶらぶら叩いてくるのはきになったが・・・。
少したって、習字を見せる生徒たちの列がなくなると先生がふいに思い出したように。

先生
「ひとし、それともうひとつこれ大事なお手紙な!きのうおまえそろばん来んかったで、今日も遅れてきて、どうしたのか知らんけど。忘れんうちに渡しとくわ!(・ω・)」

ひとし
「(素直に)はい・・・!(-_-)」

(先生、そう言ってひとしに一枚封筒を渡すと後ろに行きかけて再び振り向くと)

先生
「それから今日は最初から清書でやってな。先生新しい保護者の方達と話しがあって一字ずつ見とれんかもしれんで!まさかこんなに沢山くると思わなんだでな・・・。(^ω^)」

先生が皮肉に笑いながらそのまま後ろの生徒たちに個別に字の書き方を教えに席をはずすやいなや、またいたずら心で美咲が後ろから絡んできた!

美咲
「にわとり、昨日そろばんずる休みしたの!('ω')」

ひとし
「違うよ!ただちょっと気分が乗らなかっただけだよ!体調不良みたいなもんだよ!\(`〇´)/」

美咲
「ずる休みだ~、いけないんだあ~。\(^o^)/」

(ひとし、いちいちうるさいと思いながら、さやかが頭によぎる。こんな時さやかがいたら妹に注意してすぐにだまらせられるのに・・・。なので話題を変えるように習字の手は休めず美咲に・・・。)

ひとし
「そういえば、さやかと一緒じゃないんだ今日は・・・。( ̄д ̄)」

美咲、マイペースに・・・。

美咲
「お姉ちゃん今日、バレエの発表会だから朝からお母さんと栄に行ってるよ。会えなくて残念でした。にわとりお姉ちゃんの事好きだもんね。(≧▽≦)」

ひとし
「聞いただけだよ!やかましいから、美咲も一緒について行って踊ってこりゃよかったのに!(`〇´)」

美咲
「美咲は発表会まだだいぶ先だもん!ついて行こうかと思ったけど、昨日夕方まで一緒にバレエ教室のリハーサルに付き合って疲れちゃったもん。だから昨日そろばんきてもお姉ちゃん誘拐できなかったから、にわとりずる休みしてよかったねって!」

ひとし
「なんで僕が誘拐なんかするんだよ!好きとか勝手に決めつけて!面白がるなよ!\(`〇´)/」

美咲、からかうように・・・。

美咲
「なんで~。だってこの間、お姉ちゃん連れまわして誘拐しようとしてたじゃん!美咲も一緒に!\(^o^)/」

ひとし
「勝手についてきたんだろ!面白がって!僕は買い物行って家帰るだけだったのに、どこからきたかわからんとか途中で言い出してふざけて結局自分らで帰ってったんじゃんか!\(`〇´)/」

美咲、ひとしの言葉なんかまるで無視して後ろで字を書いてる少女に・・・。

美咲
「この人、こないだお姉ちゃん誘拐したんだよ!好きだからって家まで連れまわして!( ̄▽ ̄)」

話しかけられた少女はうっすらとひにくわらいを浮かべている。

ひとし
「だからしてないって!えっ!(゜o゜)」

いつのまにか、ひとしの横に眼鏡の小柄な少年が書いてる字を冷めて視線で眺めていた。

(ひとし、少し、たじたじして・・・。)

ひとし
「な、何かな!Σ(;^ω^)」

(美咲、それに気づいて、すでに知り合いらしく・・・。)

美咲
「その子、あんましゃべんないよ!美咲と同じ町内に引っ越してきたばかりだから。同じクラスだけど!なんか学校嫌いで来れないみたい!('ω')」

ひとし
不登校なの!じゃ習字には来るんだこれから!(-_-)」

美咲、得意なおしゃべりで両足のぶらぶらはやめずに筆を硯に浸して・・・。

美咲
「まだ、入るか分かんないし、この子のお母さんも来てたけどすぐに帰っちゃった・・・!美咲のお母さんと同じ仕事場のパートだからどこか良い塾紹介してって!お母さんここ教えたの!離婚してお父さんいないから忙しいんだって!あと中一のお兄ちゃんがいるみたいだけどお父さんと近くに住んでるみたい。お姉ちゃんと同じ学校だって!(^_^)」

ひとし、ぺらぺらとおしゃべりな美咲の話しと横にいる眼鏡の子の視線の交互でどこかやりにくそうに筆を動かしながら!

ひとし
「昨日始業式だったけど、会ってないなあ~。その前に名前知らないし!離婚してるなら苗字違うよね!( ̄д ̄)」

美咲
「わっかんない!けど、にわとりみたいな不細工なんかよりかっこよかったらたぶん、お姉ちゃんとられちゃうかもね!\(^o^)/」

ひとし
「なんかよりってなんだよいちいち!!\(`〇´)/かっこよくたって性格悪かったら意味ないだろ!てか、その前にさやかって梶谷ってやつが好きなんでしょ!同じ近所ついでに聞くけど、って言っても美咲は知らないか、そんな人!( ̄д ̄)」

咲、わりとすぐ、すんなりと・・・。

美咲
「知ってるよ。同じマンションだもん!髪の毛茶色に染めてる人でしょ!(#^^#)」

(ひとし、ああ染めてたね、ヤンキーみたいに凶暴だったし!(-_-))

美咲
「なんでいきなり梶谷君の話しが出てくるの!(・ω・)」

ひとし、どこか皮肉まじりな声で・・・。

ひとし
「別に!昨日、朝校庭でさやかと仲良さげに話してるの見たからつき合ってるのかなあ~~って!(-_-)」

(なかなか字がきれいにまとまらず次々と新しい紙にかえて筆を走らせて行くひとし。)

美咲
「美咲はよくわかんないけど、仲はすっごくいいよ、お姉ちゃんが小学校の時から同じ分断で一緒に登校もしてたから!それとめっちゃかっこいいし。バスケ部の部長とかもしてたって!('ω')」

(ひとし、今はハンドボールの部長とかしてるみたいだけど、やっぱり荒れ系のスポーツマンなのかな!(-_-;))
ひとしはなんだか面白くろくなくて嫌味混じり言葉が頭にどんどんあふれてくる・・・。

ひとし
「そうなんだ?でもあの人怒ると怖くない!ヤンキーっぽいし、めっちゃぐれてる感じがするから!(`〇´)」

美咲
「そんな事ないよ!お姉ちゃんに怒ってるとこ見た事ないもん、美咲にも!(*´ω`*)」

(ひとし、そりゃ女の子にいきなりはキレないだろう!(-_-メ))

美咲の言い方にさらに不満を感じて・・・。

ひとし
「けど、やばいよ。髪なんか染めて!頭いかれてるよ絶対!( ̄д ̄)」

美咲、急にいたずらっぱくにやついて・・・。

美咲
「ああ~、言ったろ~!梶谷君に美咲の塾にいるにわとりが頭のいかれた不良だって馬鹿にしてたって、そう言っとくわ!\(^o^)/」

(ひとし、ハッと言いすぎたと思い動揺を隠すようにむきになって・・・。)

ひとし
「いいよ、よけいな事言わなくて、誤解されたら、僕が殴られるだろ。学校行けなくなったらどうすんだよ!実際さっきも殺されそうになったし!\(`〇´)/」

また、字が上手くかけなくていらいらして紙を丸めるひとし・・・。

美咲
「へえ~、そうだったの?なんで!(゚∀゚)」

面白がる美咲!

ひとし
「自転車ぶつかったんだよ、向こうもスマホでよそ見して悪いくせに、変ないんねんつけてきてさ!野獣みたいな顔して!逃げなかったら死ぬ所だったよまじで!(#`〇´)」

美咲
「にわとり自転車ごとコケたの~!コケ~って走って逃げてきて!だっさ~~~!\(^o^)/」

ひとし
「うるさいよ!とにかく余計なこと言わなくていいから、くちチャックしとけよ!(#`〇´)」

美咲
「どうしよっかな~。あ~、でもお姉ちゃんの顔みたら言っちゃいそう。にわとりがお姉ちゃんの事好きで、家までついてきて梶谷君にぼこぼこにされてたよって!( ̄▽ ̄)」

ひとし
「ぜんぜん話しが違うじゃんか!完全に僕が悪者になってるし。ストーカーじゃないぞ僕は!\(`〇´)/」

美咲
「んふふ・・!じゃあこれは!今日お姉ちゃん来てなくて、にわとりさびしそうにしてバレエ一緒に踊りたがってたって・・・!(*´ω`*)」

ひとし、(それもぜんぜん違うけど!だいちバレエと聞いてもあまり興味ないからぴんとこないし、習っているのは聞いてたけど。でも、くつでつま先立ちを見せてくれた時はちょっと感動したな!(-_-))

ひとし
「まあ・・・。それなら別にしゃべってもいいかな!じゃっかん違和感あるけど!(-_-)」

と、突然ひとしの首筋にひやりとした感触がして手元がくるい字がゆがんでしまう。

ひとし
「ひやあああ~~~!Σ(゚Д゚)」

情けない裏返った声が教室中に響き渡った。

そして反射的に机も傾き墨汁を薄める水をこぼして用紙をおさえる文鎮もおとしてしまい床でキーンと鈍い金属音が走った。

ざわざわしてた教室内や廊下が一瞬完全に静まり返る

美咲
「(\(^o^)/ニャハハ、そんな事言わないよ~~~だ!」

おかまいなしにからかってはしゃぐ美咲!

(ひとし、不機嫌顔で怒って!)

ひとし
「ああ~も~、何してんだよ~~~!(#`〇´)字がいがんじゃったじゃんか~!首にすみなんかつけるなよ~。お前も頭おかしんじゃないのか!本当に~!」

美咲
「きゃはは(≧▽≦)、やっぱり梶谷君にボロクソ言ってたって言よ~~~!」

その時いきなり後方から爆弾が落ちるような怒った先生の大声が・・・。

先生
「やっかましい~って、さっきからお前たちは~~~!(#⊳Д⊲)くっだらない事、ベラベラ、ベラベラといっっまでも!手も動かさんと!美咲はふざけてばっかでぜんぜん書いとらんし!ひとしも中二で一番お兄さんなのに一緒になって騒いどってどうするの!他の小さい子たちの方がおとなしいでしょ!」

(不意をつかれて教室中も一瞬びくついて書いてた字が歪んじゃった子も何人かいた・・・。)

ひとし
「(僕は手は動かしていたけど・・・。巻き込まれた。(-_-)」

何気にひとしが隣りで書いてる子をチラ見すると習字紙に落書きして下に隠しているのが見えたがひとしたちを意識して見てる先生の目には入らない。

(ひとし、席を立って床にこぼれた水しぶきを前にあったバケツの雑巾でもくもくとふきだし。先生がこっちにせまってくるのと同時に眼鏡の少年も何気に空気を読んだように後ろの廊下の保護者達の方に戻っていった。)

(美咲、怖い顔で睨んで近づいてくる先生に、得意のぶりっ子で足ぶらぶらと弁解するように・・・。)

美咲
「違うよ、だって、美咲はあと名前だけだったのに、にわとりが変な事言って笑わしてくるから間違えちゃったんだよ。(´;ω;`)」

ひとし
「(僕のせいかよ!(-_-メ)」

先生、もう聞く耳持たない感じでさらに雷のような大声で・・・!

先生
「だっても、ヘチマもあるか!(#⊳Д⊲)ほか事しゃべって、脳みそよそに散歩に行っちゃっとるからそうなるの!集中して書いとればそんなもん間違えせんて!」

(美咲、面白がってまたぶりっこに・・・。)

美咲
「ちがう~!(≧◇≦)のうみそだけで勝手に歩けないよ~!」

先生
「いいから、無駄口叩いとらんと次の紙だして早くやりなさいって事、美咲は!もう時計も12時過ぎとるだろ針が!明日の朝まで残ってやってくか先生と!(⊳Д⊲)」

美咲
「いやあああ~~~、魔法の城のサニーが始まっちゃう!(≧◇≦)」

(先生またもやいたずらの声色に変わって・・・。)

先生
「ええて!そんなものは!魔法のほうきに乗って、先生が替わりに美咲の家に行って最後まで観といたるで!(⊳Д⊲)」

(美咲、駄々っ子で甲高い声でさけんで・・・。)

美咲
「いやだあ~、そんなの!自分で観なきゃ続きわかんないじゃん!(≧◇≦)」

(先生、さらにからかうように・・・。)

先生
「ついでに美咲の分のご飯とおやつも全部食べてったるでな!お母さんにも伝えとくで、美咲は今日から先生んちの子になるから塾で必死で勉強しますってそう言ってましたって!なんならいっそのこと結婚するか先生と!(*´ω`*)」

(美咲、必死に笑ってるのか動揺してるのか机をバンバンして・・・。)

美咲
「な~~んで!なんでそうなるの!絶対嫌だし!なんで美咲が白髪の生えたお爺さんなんかと結婚しなきゃなんないの~!\(≧◇≦)/」

(先生、吹き出しそうに眼鏡の奥の目が笑って・・・。)

先生
「失礼な事言うやっちゃなあ~お前も、先生まだ28歳だて、\(◎o◎)/!チョークの粉が飛んで髪が白く見えとるだけ!気づかんかった?」

美咲を含め、教室中が爆笑に近い渦に、他の子たちも口々に大声で「風呂入って頭洗わんの~、( ̄▽ ̄)」「いやあだあああ~(≧◇≦)」「ありえんし~!(≧▽≦)」繰り返しさけび出し・・・。

先生・・・もついに完全に爆発してありったけの大声で・・・。

先生
「やかましいいいいいいいい~~~~~~~~い!(#⊳Д⊲)」

最後まで御茶の葉をにごして習字が終わった。

それでも太陽は赤く染まる!第20回「青い空の下で!」

f:id:a919255217:20180909160001j:plainこころない歯医者で、助手の神山に長々とありがたい説教話しに付き合わされて結局習字の時間も大幅に過ぎてしまい、不満とあせりで自転車を猛スピードで走らせていたひとし。
だが、無我夢中で苛立ちと戦うようにペダルを漕いでいたせいか、さやかが住んでいると思われる街、細い十字路の交差点で気をとられいきなり不意に横切ってきた別の自転車とぶつかってしまう・・・。

第20回「青い空の下で!」

瞬間、時間が止まったように「わあ~っ!Σ(゚Д゚)」と一瞬にガシャーンとその場に倒れ込んだひとしは、腰と尻もちを強く打ち付けたようだが、それでも痛みをこらえるようにすぐにゆっくりと起き上がった。

スポーツ系のマウンテンバイクのような自転車!とほぼ同時に倒れた相手の姿がまぶしい太陽に照らされながらも鮮明に視界に飛び込んできた。黒いTシャツのユニホームに白い短パンズボン。シャツには1とゼッケン番号が書かれていた。

その姿に一瞬あぜんとしたが、ひとしはその相手が、昨日さやかと校庭で親しげに話していた今年3年になる梶谷秀一(かじたにしゅういち)だとわかった。

梶谷の方も「う~ん!」と短くつらそうなうめき声をあげたかと思うと、にらむようにひとしにふりかえり、「痛てぇ・・なあーーー!」と自力で起き上がるように罵声を飛ばしてきた。

あ・わわ・・・Σ(゚Д゚)
突然の罵声にびくんとするひとし。
冷や汗と一緒に心臓の鼓動がじょしょにバクバクと大きな音を立ててゆくのが分かった。

梶谷はハンドボール部で部長もしていて、行内では有名で名前の知られている生徒だった。おまけに外見もかっこいい・・・。

でも髪を茶色に染めているからかちょっとヤンキーっぽい風格がありしてひとしは苦手意識を感じていた。

ひとし、何とか言葉を探すように緊張した声色で・・・。

ひとし
「だ、だいじょうぶですか・・・!Σ(゚Д゚)」

梶谷
「はあ、だいじょうぶじゃねえ!(# ゚Д゚)俺の新車に何してくれとんだ!」

ひとしのひと言もむなしく一瞬で言葉のキャッチボールを叩き落されてしまう。
しかも運動部のせいかさすがに声には無駄な迫力があり、威圧されたひとしはただ、たじたじするばかりだ。

梶谷
「くそが!」

梶谷、吐き捨てるように、ゆっくりと苦痛と見下しの表情をみせながらも立ち上がると倒れた自転車を手際よくチェックするように見回すと、首にかけていた青いスポーツバッグを地面に投げつけて、そのはしの道路脇に落ちてる何かを拾いに行く。

梶谷
「壊れてねえよな!」

独り言のように長方形の平たく黒い物体を手にした。どうやらスマホのようだ。
なにやら、いろいろなデータを確認しているのか誰かにメールを打っているのか、いずれにしても、ひとしはここにいてはいけないと本能と無意識に何かを感じたらしく、どさくさに梶谷に感づかれないように、前かごから飛び出した習字道具を急いでかごに戻し身体に痛みをかんじながらも無理して立ち上がる。

ひとし
「いたた!」

だが、小声でつぶやくように、いそいで自転車にまたがった瞬間!後ろから・・・

梶谷
「おい、なに勝手に逃げようとしてんだよ、おまえ!(# ゚Д゚)」

ひとし、再びびくりとして、振り向きざま、ぼそっと・・・。

ひとし
「い、いえ、なんかもう大丈夫そうなのでいいかなって・・・。」

梶谷
「ああ!(# ゚Д゚)」

ひとし、いそいで弁解するように・・・。

ひとし
「い、いや、ちがいます。信号赤になるので、道路の真ん中にいたら危ないと思って、移動を・・・!」

梶谷
「じゃ、なんでいちいちチャリにまたがる必要あんだよ!降りろよ、さっさと!(# ゚Д゚)」

スマホを手につかつかと左足を引きずるような感じでにじり寄ってきた梶谷に恐怖しながらも「はい・・」と観念したように自転車からおりるひとし。

梶谷、舌打ちして・・・。ひとしをみくだすような視線で・・・。

梶谷
「て、いうかおまえさあ、ふつう人に自転車ぶつけといてなんかひと言ねえのかよ!」

ひとし、間近に来ると自分よりも一回りも大きい梶谷の威圧に動揺して・・・。つぶやくような声で・・・。

ひとし
「だ、だからさっき大丈夫ですかって!」

梶谷
「ちげーだろ~!ごめんなさいだろ~がまず!幼稚園のガキでも言えるぞそんな事!(# ゚Д゚)」

ひとし
「ぼ、ぼく、幼稚園じゃなくて保育園だったので・・・。(^ω^#)」

梶谷
「そんな話ししてねえ~よ!つーかこっち見ろっての、人が話してる時は!おまえ舐めてるたろ俺の事絶対!(# ゚Д゚)」

えりをつかまれるひとし。梶谷の顔をまじかに少しパニくってなきそうになりながら・・・。

ひとし
「ご、ごめんなさい!そんな事ないです。舐めてなんかいません!許してください!(;´д`)」

ひとしが情けない声を出すと多少悪気を感じたのか、梶谷は興奮を収めるように急に手をゆるめて離すと・・・。

梶谷
「まあ、スマホみてチャリ漕いでた俺も俺だったし、おあいこという事で許してやる!( ̄д ̄)いちいち警察呼んで事情聴取なんてのも面倒だしな。」

梶谷のいちいち上から目線の話し方には納得いかなかったが、なんとかこの場が丸く収まりそうでひとしはようやくほっとしたような表情をみせる。

が・・・。

梶谷
「でも、一応保険は必要だし。まんがいちの時に、名前だけ聞いとくわ。おまえ東中(ひがしちゅう)だろ、なんか見た事あるぞ。何年何組だ!( ̄д ̄)」

ひとし
「え・・・え、それはちょっと!困ります。先生に、迷惑かけたくないので!家にも知られたくないんです!Σ(゚Д゚)」

梶谷、ひとしのそんな態度に再び火が付いたように大声を張り上げて・・・。

梶谷
「はあ、何言ってんだおまえ!明らかに事故だろうがこれは!被害者ぶってんじゃねえぞ。俺の足見てみろ、さっきてめえに、ぶつけられた所が腫れあがっちまってるだろうが!(# ゚Д゚)」

ひとしの頭をつかむなや、梶谷は自分の左足に強引にぐいっと引き寄せる!

ひとし、梶谷の顔を目前にかなりおびえながらも精一杯つぶやくように・・・。

ひとし
「そ、それはたぶん、大丈夫です。か、梶谷さん中学生だから、医療制度でただでみてもらえますよ。絶対!(^ω^#)」

梶谷
「馬鹿かおまえ!自分でかした問題とんずらして、いっちょ前に他人任せにしてんじゃねえぞこら~!どさくさに俺の名前きやすく呼びやがって!やっぱりおまえ気に食わねえわ!クラスの連中の名前教えろ!そいつらからてめえの事聞き出してやるから!つーか、だちもいね~だろそんな性格じゃ!(# ゚Д゚)」

ひとし、おびえながらも少しむきになって・・・。

ひとし
「か、勝手に決めつけないでください。と、ともだちのひとりくらいいますよ!Σ(゚Д゚)」

梶谷
「いいから、さっさといえよ!試合に遅れるだろうが!おまえみたいにひまじゃねんだよ俺は!(# ゚Д゚)」

ひとし、「(学校への自転車通学は違法なんじゃ・・・。)」と喉まで言葉が出かかったが、今そんな事口走ったら間違いなくこの先輩に殺されると思い、踏みとどまる。

ひとし
「そ、その、仲の良いと、ともだちはやっぱりいないかも、知り合いなら、さ、さやかとかいますけど・・・。」

梶谷
「はあ、さやかって、1年のさやかと知り合いかおまえ・・・。(# ゚Д゚)」

ひとし
「い、いえ、ななんでもないです。遠い知り合い、人違いです!やっぱ・・・。」

梶谷
「どっちなんだ!ごちゃごちゃ何言ってんだかわかんねんだよさっきから!はっきりしゃべれよ、女かてめえは!締め上げるぞマジで!もういいわ!てめえが持ってるスマホか携帯あるだろ。出せ!(# ゚Д゚)」

再び、襟首をぐいっとつかまれるひとし。

ひとし、も再び冷や汗で鼓動がバクバクになり、恐怖で願望するように!

ひとし
「す、すみません!やっぱりどうしても言えないです!それから、携帯もスマホもないです。友達いないので!(^ω^#)」

梶谷、ひとしのそんな態度についに怒りが爆発したのか、襟首をつかんだままいきなり大声で「腹立つなあ~、おまえ!(# ゚Д゚)」ともう一方の手で。ひとしのズボンの左右前後ろのポケットに乱暴に手探りで突っ込んできた。

ひとし、突然の出来事にかなり動揺して両手で持ってつかんでいたハンドルが離れて自転車をまたもやガシャーンと倒してしまう・・・。

ひとし
「えっ!ちょ、ちょっとやめてください!ほ、ほんとに何もないんです!Σ(☆Д☆)」

梶谷の興奮した熱い息と目前の首筋に振動で何度も顔があたると少し汗ばんだ生温かい香りがひとしの鼻をついてウっとなった。しかも運動で鍛えてるせいか腕や身体の筋肉と骨の固い感触が生々しく伝わってくる。

梶谷、がしがしと探る手を止めずに不満を愚痴るように・・・。

梶谷
「マジ、くそイラつくんだよてめえ!この自己中やろうが!どういう教育受けてきたんだ~今まで!それとも生意気ないじめられっ子の不登校児か!だっせ~!生きてる価値ねーぞ!(# ゚Д゚)」

梶谷にされるがままパニクッてると、ちょうどその瞬間、「プップー!」と向こうから走ってきた赤いスポーツカーにクラクションをならされ、ふいにつかまれていた襟元の力が緩んだ。細い道路の真ん中で言いあっていたのでさすがに通行人には邪魔になるはずだ。

しかも中に乗ってたアベックらしく二人のサングラスをかけていた男女には、もめていた今のひとしたちの様子がかなり異様な光景に映っただろう。
ひとしは梶谷がスポーツカーの方に振り向いて気を取られているこの時を逃さずに、すかさず倒れた自分の自転車を無意識に起こすとそのまま横に惹きながら猛スピードで突っ走っていった。

梶谷
「おい、まてこのやろお~~~!(# ゚Д゚)」

だが、梶谷も反射的に逃げるひとしに気づいて、すぐに、走るように追っていく。部活で鍛えてるせいか殺意じみた目に走る勢いが凄まじい。さっき引きずっていた足がまるで嘘のように速い。

ひとし
「(わああああああ~~~~~~~~~~~!Σ(☆Д☆)」

ひさにペダルをぶつけながら、心の中でさけぶように振り向きもせず恐怖にひきつられ半泣き顔で走って行くひとし。

「プップー!」それでも2度目の強いクラクションに梶谷の倒れたままのマウンテンバイクが邪魔になってるのに気づくと梶谷は逃げるひとしの背中に息荒げ舌打ちするように、途中でかけ戻っていった。

それには気づかずに息をきらしながら死に物狂いでかけ走って行くひとしだったが、まさかこの皮肉にも、痛々しい出会いがこれからの1年、先の長い人生に彼が心のささえの大切な架け橋となるだなんてこの時のひとしにはまだ夢にも思わなかったのだ。

雲ひとつない青空に輝く太陽だけがそんな空回りしているひとしをあたたかく見守っていた。